夕焼け新聞8月号掲載『Epiphany』

ハワイ島からブログ発信中。こちらは米国オレゴン州月刊コミュニティ紙『夕焼け新聞』2023年8月号に掲載されたコラムの全文です。

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日本からハワイ島へ到着する家族や友人を空港で出迎える時、久しぶりに会う嬉しさと、(到着する人にとっての)ハワイ島での時間がさぁ、始まるぞ、というワクワク感、そしてちょっとの不安も入り混じったような忙しない気持ちがして、私はそれがとても好きです。

その日、私はいつもの忙しない気持ちを感じながら久しぶりに会う姪っ子をヒロ空港のバゲッジクレームの前で待っていました。程なくして、遠くからのんびりと歩いてくるのっぽの女の子の姿が見えました。桃子と書いて「とうこ」と読む彼女。女の子と言うのは憚れるような大人の女性の容姿の中に残るもぎたての果実のようなフレッシュな雰囲気は健在で、まさに「名は体を表すなぁ」などと思いながら、歓迎のレイ(花飾り)を彼女の首にかけたのでした。

滞在は2週間。我が家の1階にあるAirbnbのお部屋に滞在しながらの、彼女にとっては初めてのハワイ島です。今回の旅では「ハワイ島での普通のローカルな生活を体感したい」「ハワイ島の観光名所的なところにも色々行ってみたい」という彼女の願いを叶えてあげられるといいな、と思いながら2週間の予定を組みました。そして私自身、姪っ子と共に初めて行く場所や何度も訪れたことのある場所を含め、島内の様々な名所を訪れることができました。

今回私自身が初めて訪れた場所と言えば、島の西側、コナ空港のほど近くに位置するカロコ・ホノコハウ国立歴史公園。パーキングに到着した時は、殺風景な荒野といった雰囲気に一瞬「大丈夫かな?」と思ったものの、とりあえず海の方に向かって歩きはじめました。周りはゴロゴロの溶岩だらけです。しばらくすると溶岩と溶岩の隙間に少しずつ緑が見え始め、さらに進んで緑のアーチのような木々の下をくぐり抜けると、目の前にキラキラと光り輝くエメラルドグリーンの海が広がりました。なんだか別世界に辿り着いたようです。島の東側(ヒロ側)では見られない白砂の向こうに、ゆったりとした大きな海。浅瀬のフィッシュポンドには小さな魚がたくさん泳いでいて、岩場ではホヌ(海亀)達が気持ちよさそうに甲羅干しをしています。なんて穏やかで神聖な場所なのだろう、とうっとりしていると、隣にいる姪っ子もこの場所がとても気に入った様子。同じ空気感を「いいな」と思えていることが感じられて、とても幸せな時間でした。木陰を探してビーチタオルを敷き、早起きして握ったおにぎりと卵焼きを一緒にいただいたのもいい思い出です。

ハワイ島は別名を「ビッグ・アイランド」と言うほど、ハワイ8島の中で最も大きな島。私が暮らすヒロは島の東側に位置し、島の西側、北側、南側までは、それぞれ車で2時間程度の距離感です。そしてそれぞれのエリアでまったく異なる気候、風景、エネルギーを味わうことができるのもハワイ島の魅力のひとつと言えます。そのため、島内の様々な場所を巡るにはどうしても多くなるドライブの時間。今回の旅では、七変化するハワイ島の景色を眺めながら、助手席に座る彼女とのおしゃべりもまた心に残る時間となりました。思えば、彼女とこんなに長い時間話しをしたのは初めてのこと。頬に感じるハワイの風も手伝ってか、二人とも緩んだ心で色んなお話ができました。

滞在も後半に差し掛かった頃、姪っ子にとっては滞在中二度目となるキラウエアの火山国立公園を再訪。見晴らしのいい展望台でその日も手作りのランチを広げながら、なにげなく彼女に「今回のハワイ島の旅はどうだった?」と聞いてみました。すると、「エピファニーを見つけた気がする」という答え。Epiphany(ひらめき、悟り)という単語、アメリカ人の夫が滞在中姪っ子に投げかけた質問 ”Have you had any epiphanies?” から来ています。どこまでも広がる真っ黒い溶岩台地とその向こうの真っ青な海のコントラストを眼下に姪っ子は、彼女が今回のハワイ島の旅で見つけたエピファニーをそっと教えてくれました。

ハワイ火山国立公園にて

姪っ子の首にレイをかけてからちょうど2週間、ハワイ島滞在を終え東京での生活に戻ってゆく彼女をヒロ空港まで見送りに行きました。ハワイ島を訪れたゲストを見送る時は大抵、その人の中に生まれた何か火種のようなものを感じます。その人が滞在中に感じた何か、その人の中で変化した何かが、今はまだ炎として現れてはいないけれど確実にその人の中に生まれた火種のようなものとして私には感じられるのではないかな、と思っています。

「またね」とバイバイのハグをして姪っ子を送り出しました。うっすらと日焼けしたもぎたての果実は、エピファニーを見つけて更に美しく光り輝いていました。

ハプナビーチにて

トゥシグナント 知佐子 

chisakolife.com

東京都出身、2013年米国に移住。オアフ島、ロサンゼルス、ポートランド(OR)を経て現在はハワイ島ヒロ在住。数秘セッションと絵画制作 マナアートハワイ manaarthawaii.com・ハワイ島ヒロ自宅でのAirbnb airbnb.com/h/hilosunrisesuite 

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