夕焼け新聞7月号掲載『DIY天国』

2021年7月7日にオレゴン州ポートランドよりハワイ島ヒロへ引越しをしました。入校日の関係もあり、夕焼け新聞8月号まではポートランド在住時に書いたコラムが掲載されます。以下は夕焼け新聞7月号に掲載されたコラムの全文です。

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ポートランドの我が家には地下があります。入居した当初は地下室だけがまるで廃墟かお化け屋敷か、といった状態でした。築100年の一軒家なのですが地下は建築当初から手を着けられていない雰囲気で、ここ数十年は掃除もされていなかったのではないかと思います。壁はボロボロと剥がれ落ち、天井は蜘蛛の巣だらけでしたから。

そんな廃墟状態の地下室を、なるべく業者さんを使わずにDIYでバスルームとキチネットのある1ベッドルームの居住空間にリノベーションしよう!という大プロジェクトを夫婦ふたりでスタートさせたのが約一年前のこと。当初は蜘蛛の巣とホコリだらけの暗い地下に降りて行くことさえ恐る恐るでしたが、ボロボロの壁を剥がし、新しくセメントを塗り、その上からベースのペンキを塗ってようやく少しすっきり、天井と壁と床とがきちんと見える状態になったのでした。

ところがそこで、リノベーション以前に片付けるべき課題が浮き彫りに。築100年の家なだけあって地下に張り巡らされている電気配線、水道管、ダクト、すべてが古い。問題なく使えているのが不思議なほど古い。ということで、他州ではありますがマサチューセッツ州のコントラクター資格を持つ夫はこの機にすべてを新しくリプレイスすることにしたのです。電気配線については業者さんに依頼し、プラミング(水道関係)とダクトの交換は夫が自ら行いました。

当然といえば当然ですが、水道工事、電気工事、家の改修工事は一般的に資格を有し州に登録をしたプロの業者でないと工事をすることは正式には認められていません。しかしなんとポートランドが位置するオレゴン州マルトノマカウンティは、カウンティに申請をして、カウンティの検査官による検査にパスをすれば、資格がなくても物件オーナーが自ら工事を行ってもよいことになっています(※注記参照)。これは、DIYが得意な方で費用を抑えて自宅の工事を行いたいホームオーナーにとってはかなりの朗報ですね。ただカウンティの検査官は一度ではなく何度かに渡って検査に来ていましたし、かなり細かいところまで検査されている様子でした。パスするのはなかなか大変なようですが、選択肢として用意されているのは素晴らしいことだと思います。

その後、大量の木材、タイル、ペンキにまみれ、仕事の合間に少しずつ少しずつ工事を進め、構想していた通りの素敵なキチネット&バスルーム付き1ベッドルームが地下に完成しました。この間幾度となくハードウエアストア、材木店、石屋さん、ペンキ屋さん、ダクト屋さん、古材屋さん、バスルーム用品専門店、キッチンカウンター専門店、と数えたら切りのないほどの建築関係の専門店へ足を運びました。驚くのは、かなり専門的なお店でさえもいずれも郊外まで行かずともすべて街なかに揃っていること。そしてどのお店も業者さんだけでなく一般のお客さんで賑わっていること。どれだけDIYが盛んな街なんだ!と思ってしまいます。

ポートランドの好きなところは色々とあるのですが、街に自然が溢れていることころ、山や川といった大自然まで車ですぐにアクセスできるところ、超ドッグフレンドリーなところ、人々が気取っていないところ、四季が日本と似ているところ。そしてもうひとつとても好きなところ。それは、古い家やモノを大事にした街並みとそのセンスです。このポートランドという街とそこに暮らす人々の、古いものを大事にする感性のようなものもまたこの街のひとつの大きな魅力と感じています。

DIYをする環境は十分に整っていると言えるポートランド。これからの季節、バードハウスなどからDIYをスタートしてみるのもいいかもしれませんね。バードハウスの次は頑張ってウッドデッキに挑戦?!今年の夏は自作のウッドデッキでバーベキューなんて、最高なのではないでしょうか。

※マルトノマカウンティの物件改修工事に関するパーミット申請の詳細については、カウンティのウェブサイトをご参照ください。

https://www.portland.gov/bds/residential-permitting

工事中の地下室
完成後の地下室

トゥシグナント知佐子

東京都出身、2013年米国に移住。ハワイ、カリフォルニアを経て、現在は、ボストン出身の夫、オレゴンの森の中で生まれたコリーのメス犬と共にポートランド在住。ブログhttps://chisakolife.comにて、ポートランドの暮らし、国際結婚、犬猫との生活、自らの絵画制作などについて執筆中。

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