夕焼け新聞5月号掲載『あんたがたどこさ』

ハワイ島からブログ発信中。こちらは米国オレゴン州月刊コミュニティ紙『夕焼け新聞』2024年5月号に掲載されたコラムの全文です。

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これも、ゆったりと時間の流れるハワイならばありなのかなぁ。そんなことを思いながら、新年というには季節も気持ちも少しばかり前進してしまっているように感じられる3月最終週に開催されたHawaii Shima Kumamoto Doshi Kai (ハワイ島熊本同志会)の新年会に参加してきました。私自身は東京生まれですが、両親は熊本出身です。とはいえ熊本を訪れたことがあるのは覚えている限り数回程度の私。ここハワイ島に熊本同志会なるものが存在し、自分がその会員になろうとは想像もしていませんでした。

会場となったヒロ大神宮のホールにて

ところで、ハワイの日系人は、ハワイ島を「ハワイしま」と呼びます。日系人たちは「おらが島(わたしたちの島)」という思いを込めて「しま」と呼んでいたのだそうです。会場を見渡すと、日本からハワイへ越してきた日本出身者はほんの数名。70名ほどの参加者のほとんどがローカル日系人の方々で、小さな子供からご年配の方まで家族総出での参加が多い印象。毎年この新年会を家族で楽しみにしている様子が伺えました。

初参加の私は一人だったこともあり、お隣に座った若いローカルの女性に話しかけてみました。本願寺ヒロ別院の付属日本語学校で6年間日本語を学ばれたお話や、日本を訪れた時のお話をはじめ、彼女自身の日本との関わりをたくさん聞かせてくださる中、彼女のルーツである熊本県菊池郡の話になりました。ひいおじいさん、ひいおばあさんがいずれも熊本県菊池郡からの移民で、さとうきび労働のためにハワイ島へ渡って来られた、ということ。

成人してから数回しか訪れたことのない私の熊本の旅のうちの一度は、菊池郡への旅でした。若かりし頃(2000年前後)、キューバという国に魅せられ何度も訪問していた時期があるのですが、その度にお世話になっていたキューバのホームステイ先のお母さんの故郷が熊本県菊池郡だったのです。キューバのお母さんはまだ幼い子供だった頃、日本に残ったお姉さんと離れ離れになってしまった過去がありました。キューバと日本で遠く海を隔て何十年も会っていない姉妹。高齢でもう旅行もままならない二人。そんな状況を知り、キューバからの手紙や写真やお土産を携え、私はキューバのお母さんのお姉さんを訪ねて熊本県菊池郡へと赴きました。私にとっても忘れることのできない場所である熊本県菊池郡の話が、日本でもキューバでもないハワイ島で再度出てきたことにとてもびっくりしてしまいました。しかも、たまたまお隣に座った方から!

日本の原風景のような、どこまでも緑色の田んぼが広がるのどかで美しい町。隣に座っているハワイローカルの女性と、そんな菊池郡の風景を互いに頭の中で共有し合いながらお話ができた時間は、心があたたかくなる幸せなひとときでした。

会の終盤には、参加者全員での合唱がありました。曲目は、なんとも懐かしい童謡「あんたがたどこさ」。歌詞カードも配布いただきましたが、歌ってみるとカードを見なくてもスラスラと歌詞が出てくることに自分でも驚きました。しかしそれ以上に、この曲が熊本の童謡だったということを初めて知ったのは恥ずかしながら衝撃でした。確かに歌詞には「くまもと」とはっきり出てきているにもかかわらず、幼い頃はそんなことを考えもせずにただただ音だけを追って歌っていたのだなあ、ということを認識させられました。

さて、ありがたいことに用意していただいた英訳付き歌詞カードのお陰で改めて知ることとなった「あんたがたどこさ」の歌詞の意味。「あんたがたどこさ(あなた達はどこの出身?)」「肥後さ」「肥後ってどこさ?」「熊本さ」という歌詞だったのですね!熊本というルーツでつながる者同士、会場にいた参加者全員が海を越えここハワイ島で、各々の熊本への思いを胸に「あんたがたどこさ」の合唱と共に心を合わせた瞬間でした。

「あんたがたどこさ」英訳付き歌詞カード

トゥシグナント 知佐子 

chisakolife.com

東京都出身、上智大学文学部哲学科卒。2013年米国に移住。オアフ島、ロサンゼルス、ポートランド(OR)を経て現在はハワイ島ヒロ在住。ハワイ島ヒロ自宅でのAirbnb airbnb.com/h/hilosunrisesuite 

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